トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐





 * * *






放課後。




北村美友紀先輩を下駄箱近くの陰で待ち伏せていると、隣に浪瀬がやってきた。




日に日に彼の隠密スキルが上がってゆく。





「お前の考えが手に取るようにわかる……」




「そんな以心伝心はいりません」





嫌という気持ちが前面に押し出された声でも、浪瀬は気にしたふうもなく。



……別に、気にして欲しいわけじゃないけど。




浪瀬の顔をじっと見つめる。





「何だよ」




「…………」




何も言わずに彼の頭をぐちゃぐちゃにかき回し、ボサボサになったそれをピンで留める。





「よし」




「よしじゃねぇよ! 俺様に気安く触れるな、セットを崩すな!」





「うるさい。そっちのほうが顔バレしないでしょ」





浪瀬の目の前に手鏡をつきだす。




「……ちっ、しかたねぇな」