窓を開けて、外壁の僅かな出っ張りに足をかけ、2組の窓の下まで移動した。
「わー、クマちゃん!」
ナーゴ!
窓側に背を向け座り、手鏡を使って中を見ると、女生徒が浪瀬からパンダ模様の猫をひったくるようにして受け取ったところだった。
「うちのクマちゃん見つけてくれてありがとう!」
猫は女生徒の手から逃げ出そうと必死だ。
そんな小さな抵抗は痛くもかゆくもないようで、鼻歌を歌いながらスキップして去っていく。
浪瀬は中途半端に上げた手を宙にさまよわせていたが、やがてゆっくり降ろした。
その背には、哀愁が漂っていた気がする。
私は手鏡をポケットにしまい、この場を後にしようとした。
瞬間、上の窓が開いた。


