なになに、何が起きてるの?!



いきなりばーんって入ってきて泣き出すなんて、ワケがわかりません。



面倒ごとはごめんです、早く出ていけー。




両手を向けて念じても、出ていくことも、泣き止むこともない。



超能力者じゃないからね。





……どうしよう。




眉間に寄ったシワを押さえながらため息をつくと、女は叫びだした。




「うわあぁ、浪瀬君のバカあぁ!」




…………って、さっきフラれた女ですか!




彼女の声量はまったく衰えない。



泣き声のあちこちで『浪瀬』や『好き』といった単語も聞き取れた。