主に教師の声しか聞こえてこない、私語のない教室で『ニャア』の一声も聞こえてこない。
ちょっとでも動いたり、声を出せば追い出されることを知っているなら、大層賢い猫である。
そんなに賢いなら、どっかの劇団の猫だったりして。
火の輪くぐりとかやってそう。
……想像してみる。
…………いけそうな気がした。
* * *
昼休み、浪瀬に『放課後ペットショップに行こう』と誘われたが丁重に断り。
放課後はいつものトイレにやってきた。
去り際、教室で待ってるとか言っていた気がするけど、何の返事も返さなかった。
本当に待ってたらどうしよう。
ちょっとした罪悪感に苛まれていると、相談者が来たようだ。
「いらっしゃい。何の相談かしら」
「あのねー、クマちゃんをさがしてるんだー」
おや?
これは初めてのパターンですね。
恋愛の神様と言われている私に、それ以外の相談だなんて。
「熊なら、動物園に行けば会えるじゃない」
「ちがうのー。熊じゃなくて、うちのクマちゃんをさがしてるのー」


