トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐





「いますよ。入っておいで」




声変わりした低い男の声だった。



彼は面接でも受けるかのようにして入ってきたが、一歩も近寄らないうちに足を止める。



男の人は皆そうだからいまさら気にしない。





「1年4組、千葉大雅(ちばたいが)です。本日はよろしくお願いいたします」



「はい、よろしく」




昨日散々聞いた名に、頭が痛くなった。





「早速相談なんですが、部活に入ってから、マネージャーが俺のこと見てくるんです。近くに片山先輩がいたから勘違いかもしれないけど、もし俺だったらその子と付き合いたいな、なんて……」





恥ずかしそうに話す彼。




ああ、ここに勘違いした哀れな被害者が。