「ありがとう。だけど付き合えない」 「え?なんでっ……!?」 「ごめんね」 女は涙を溜めた目で男を見上げてから、走り去ってしまった。 私はその後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから、男に視線を移す。 彼は片手で口元を押さえ、腹に空いている方の手を当て肩を震わせていた。 「ふははははっ、何あいつ。ブスのくせしてこの俺様に付き合ってください、だと?」 私は一瞬自分の耳を疑う。 あいつが言ったの?