「なんで貴様がここに居るんですかー」



「監視だ監視。お前がいつ放送室に行くかわからないからな」





音楽室での邂逅から一夜明けて、昼休みの屋上。



植物が植えられ、庭園になっているそこには、中庭と同じくらい人が多い。




誰よりも早く来て、背の高い植え込みの影に潜んでいると、しばらくしてやってきたこいつ。



浪瀬忍。




「監視って………。私は貴様が無駄なことを話さない限り、あれを流す気はありません」



しっしっと手を払うけど、浪瀬は隣に腰を落ち着け、パンの袋を開けた。



居座る気か。




「そう簡単に他人を信用できるかよ」



「そりゃ、もっともだ」




だけど。



「私を脅す材料持ってるんだから、安心でしょ」




だから、私なんかにかまってないで、いつもみたいに女の子たぶらかしに行けば?




決定的な証拠握られてないはずだから、好きにさせておいていいし。



から揚げを食べながら、周りの声に耳を傾けようとした。




「お前さ、Mなの?」



「はぁ?」



しかし、浪瀬はそれを許してはくれない。