浪瀬と付き合うようになって数日が過ぎた。
これといって恋人らしいことは何一つしていない。
変わったのは、あれから毎日、約束もしてないのに彼と下校しているくらいでしょうか。
内容も、以前と変わらず諜報活動。
「野枝。次のターゲットはといつだ?」
生徒の波に乗りながら、並び立つ浪瀬は楽しそうに問いかけてくる。
「そうねぇ………」
私の視線を追った彼は、口元を吊り上げた。
「じゃあ、この作戦はどうだろう」
彼は私に耳打ちした。
私の彼氏兼野次馬仲間は有能で、野次馬にしておくにはもったいない逸材です。
こうして情報を集めたからといって、活用することもないのですが。
これは一種の趣味というものなのでしょう。
悪趣味に付き合わされた浪瀬は、文句ひとつ言わず、むしろ進んでノってくれる。
神様を辞めた喪失感は、今のところ感じていない。
この半年ほどの神様業にあてていた時間が、浪瀬とのデートにすり替わっているからだろう。
そこらへんは、褒めてやらんこともない。
つまりは、なにが言いたいのかというと。
私は今、とても幸せだということ。


