聞いた方が早いね。
「んで、犯人は?」
「調査中だ」
即答された。
え?
「犯人がわかったんじゃなかったの?」
「そんな事一言も言ってねぇよ」
そうですねー。
言ってませんでしたよ、確かに。
でもさー『調査結果、心して聞け』なーんて言われたら、判ったものと思うでしょ?
普通は!
「騙しやがったわね、この詐欺師!」
イライラが止められず、浪瀬の胸ぐらを両手で掴んで締め上げた。
がくんがくん揺さぶるも、腕が疲れるだけで彼は堪えていないようだったのですぐ止める。
割に合わない。
引っかかった私が悪かったんだと諦めよう。
そうよ、彼はこういう奴だと知ってたじゃないか。
いまさら騙されたことのひとつやふたつ。
………みっつやよっつ。
いい加減学習しないか自分。
ふと見ると、浪瀬はシワの寄った襟元をくつろげている。
涼しい顔しちゃってさーもー。
ひとまずは、まあいいわ。
「で。どっからその情報仕入れてきたの?」
浪瀬の調査結果は、やけに断定した物言いだった。
どんな信用できる筋から仕入れたのか、興味がある。
そして、何でもないことのように彼は言った。
「伊藤翔平に聞いたんだよ」
なに本人に聞きに行ってんですか。
でも。
「噂の当事者なら、それに詳しくて当然ね」
うなづくと、浪瀬は渋い顔をした。
「何?」
「…………いや」
含みのある言い方に眉間に力が入る。
隠し事されるとか、気にくわない。
私と浪瀬は相棒なんでしょ。
「放課後、岡田と平井に会いに行くんだが………野枝も来るか?」
「もちろん、行くよ!」
わざと話しを逸らされた気がするけど、構わない。
浪瀬ばかりにいい格好させてなるものか。
「んじゃ、残り5分でその弁当掻き込みな」
「弁当………」
話しに夢中で忘れてた。
ああ、思い出したらお腹が減って……。
「気づいてたなら早く言え!」
変に遠慮して隠さなくていいんだよ、この場合!
この後、ご飯とおかずを大口で噛まずに飲み込んだ。
ご飯は飲み物とは、言い得て妙です。


