トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐





ショッピングモールから徒歩で20分。


レンガのような色あいに、似たような形の家々が並ぶ地区の家を紹介された。



「ここが俺の家だ」



「ほー」



外観は違いがわからないくらいに同じだが、もう一度彼の家に行けと言われても辿り着ける自信はある。

むしろ、初めての人でも辿り着けそうだ。


それは愛ゆえにとかいう精神論などではなく。

浪瀬のお隣さんが、他とは違うから。



「すごいね」



「だよなー」



基本的な外見は変わらないが、少しばかり手の込んだ庭の向こうに見える家はレモン色。



周りが薄橙な中、そこだけがやけに主張して見えた。



「そこの夫は、会社の社長やってるらしい。俺も顔は見た事ないけど」



「ふぅん」



金運を意識したのかな。



「隣人の事はいいんだよ。こっち」



私の意識が隣の家に向いていることが不満らしい浪瀬に、彼の家に引きずり込まれた。


なかなかに広い玄関の木製靴箱の上に、手のひらサイズの花が飾ってある。

掃除は行き届いていて、玄関マットの奥に並べられたスリッパはふたりぶん。



家族が不在の間に私を連れ込む計画は、いつからあったのだろう。

むしろ、そのお得意の話術で親兄姉を追い出したのではないかと疑惑が出てくる。


………考えすぎか。



「どうぞ」



「……………どうも、お邪魔します」



警戒してしまうのは、当然のことだ。


浪瀬の誘導で階段を上がり、奥の部屋に入る。

机とローテーブル、シングルベッドのある、生活臭のあるシンプルな部屋。


多少ごちゃっとした机の上で、見慣れたスクールバッグが口を開けていた。


ここは、浪瀬の部屋だ。



浪瀬が後ろ手に戸を閉め、密室ができた。

部屋を一通り見てから振り向くと、彼は変な色香を放っていた。



「男と女が同じ部屋にふたりきりだ。することは決まってるだろ」



「もちろん」



艶のある声に、同等の声で返す。



知ってるよ。

でないと、のこのここんなところに来ない。



「エロ本探しだよね」



「ちげぇよ!」



「初めて浪瀬が私の部屋に入った時、ベッドの下とか、こう、探してたでしょ」



「そこはやめろ!」



「……………」



ベッドの下から本当に水着のボインなお姉さんが現れたので、そっと奥に押し込んでおいた。



「なんか言えよ」



「ワタシハナニモミナカッタ………」



「カタコトやめろ」



脳内のメモ、浪瀬のページに一行追加。

大人の巨乳美女が好き。