筆跡鑑定に挑戦すると決めてはや1週間。
クラスメートの筆跡は全て見たが、あの独特な字に巡り合うことはなかった。
他クラスに行こうにも、立ち話を聞くのとはわけが違う。
無防備にノートなりプリントなりを広げてくれたらいいものを、人というものは隠したがる。
わざわざ裏返しにして、筆箱を文鎮代わりに乗せる。
果ては、裏返したプリントに綺麗にノートを被せて筆箱を乗せるという徹底ぶり。
下手に触ることは避けたいため、なかなか盗み見る機会が訪れない。
はぁ……どこかに全生徒の筆跡は落ちてないかしら。
例えば、誰か提出物をまとめて運ぶ途中、それをぶちまけてくれちゃったりして。
なんてことを考えるが、一向にその様子がない。
頻繁にあっても、それはそれで問題ではあるのだが。
かといって、プリント収集係に立候補するなんて目立つマネは御免だね。
結果。
引き出しに置き去りにされたプリント類を漁ることにした。
放課後の、人がいなくなる時を待って、各教室をまわっている。
今日も今日とて、人がはけるまで自席で勉強するフリをする。
これなら、学校に残っていても怪しまれないでしょ。
「おなかすいたー。そこのコンビニ行こ」
「あたしもポテト買って帰るー」
教室に残っていた女子の団体が去り、ここには私一人だけ。
さて、行動開始しようか。
たいして広げていなかった道具は、すぐに鞄に収まった。
適当に歩いて、人のいない教室を探さなきゃ。
結構な物音をたてることになるので、校舎に誰もいないことが望ましい。
しかし、依頼から時間が経ち過ぎていて、そんなに待ってられない。


