放課後になると、クラスの男子に囲まれる浪瀬。
彼は気持ち悪いくらいに愛想よく接している。
一昔前までは男子に嫌われていたというのに。
この光景を見る度に思う。
よくもまぁ、人気者になったものだね。
トイレの神様としては、浪瀬のせいで泣かされる女子が減って嬉しいよ。
彼らから遠い方の出口を使い、今日はまっすぐ家に帰る。
宿題を終え、ご飯も食べて。
居間のソファに寝転び、考えていた。
『空色のヒヨコ』なる人物をどうやって探すか。
まさか、生徒ひとりひとりに聞いて回るわけにもいくまい。
「はぁ……」
気づけば時刻は午後9時。
つけっぱなしのテレビでは、刑事ドラマが始まった。
腕を枕に、映像を眺める。
ドラマはいいな。
誤認逮捕したとしても、最後には真実にたどり着く。
間違えたのは褒められることじゃないけど、正解に行き着く様は素直に羨ましい。
作り話だからと言っちゃそれまでだけど、夢みたってよいではないか。
物語は進み、警察が紙切れ片手に、容疑者に詰め寄っている。
『これを書いたのはあなたですよね』
『何のこと、こんなの知りません』
『嘘はよくない。これは明らかにあなたの字だ』
「……………」
私はおもむろに空色の封筒を取り出した。
他に見ないほど特徴的な字をしている。
「………いけるか………………」
一般人が一朝一夕でできるとは思えない。
けれどもここまで芸術的な字を書かれる方、そうそう間違えないと思うから。
「試してみる価値はありそうだね」
次の行動は決まった。


