トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐






思わず、ぷっと吹き出した。



短い脚のヒヨコが踊りだす姿を想像すると、なんとも可愛らしい。

ちまちまひょこひょこピィピィ。

右に3歩、左に3歩、まーえ、うしろ。

最後に1回転しようとして、ころりと尻餅をつく。

すばやく立ち上がり、またリズムを刻み…………。





キーンコーン、カーンコーン。




授業開始のチャイムが鳴る。


前の扉から教師が入って来たのが見えて、ひきだしに手紙を隠した。




「きりーつ、礼」

「よろしくお願いしまーす」

「ちゃくせーき」




ガタガタと椅子を引く音がずれて、不協和音。


今日も今日とて生徒達のやる気のなさが伺える。



「それじゃあ、先週の続きからー」



生徒同様やる気のない女教師が、教科書を音読するだけの授業。

これが何回目の授業だったかな。

退屈なそれは改善されることなく、眠たいまま。

新人はもっとこう、希望に溢れた熱い人ってイメージがあったけど、この教師を見ると、想像は想像に過ぎなかった、と。

熱血だとしても、それはそれで鬱陶しいからいいんだけど。



こうやってコソコソしても怒られないのだから。



隣の人は、教科書の真ん中くらいのページを開き立てた陰で、次の授業で提出する宿題をしている。

今の授業はまだそんな先まで進んでいない。



前の人は、重ねた教材の上から、両腕を枕に昼寝の体勢だ。

その教科書やらは開いた跡がない代わりに、ところどころ濡れた後のようにふやけている。

雨も降ってなければ、教科書類は学校から持ち出される機会はない。

なのに、ふやけているとはどういうことか。

過去、尿検査のパックの蓋が外れてカバンの中身が大惨事になったという話を聞いたことがあるけど、それとは違うでしょう。


って、それが言いたいわけじゃなくて。




前の人の座高が低いおかげで防御力は薄いけど、問題集と教科書を積むことにより、さりげない盾を形成する。
隣の人のように、不自然な盾は作らない。

その陰で、ノートに挟んであった花柄の便箋を抜き取り、返事をしたためた。