「では、さっそくそなたの話を聞こうかの」
「はい。実は、僕には付き合ってる彼女がいて、古賀瑞穂っていう、僕にはもったいないいい子なんだけど……」
えへへと照れ笑い。
私は黙ったまま話の続きを促した。
「彼女最近、家でいろいろあって大変らしいんだ。お父さんが仕事をクビになったとか、妹が急病を患ったとか……。僕、何かの役に立ちたくて、バイトで溜めたお金全部渡したんだけど、まだ足りないみたいで………。助けてください神様、お願いします!」
僕はもう、どうすればいいのか分からないと訴える彼。
私は、呆れてものも言えない口を無理やり動かす。
「そなたはそれを、誰かに相談せんかったのか」
「瑞穂が僕だけにって、他には言うなって……」
なるほどこれは……。
「人をだます時の決まり文句ではないか」
「だます? 瑞穂はそんな子じゃない!」
カッとなって言い返す彼。


