「あんた、自宅しか登録ないじゃない。かわいそうだから、あたしの番号入れといたから、メールとかしなさいよね!」
「う、ん………」
「絵里子ばっかりずるい、あたしもいいよね」
帰って来たばかりのケータイを取られ、再び戻ってきた中身を見ると、電話帳登録が3件になっていた。
緩みそうになる頬を引き締めていると。
「いつまで床に座ってんのよ。隣、座りなさいよ」
「えっ……」
「ごはん食べてから、3人で遊びに行くわよ」
「はいっ」
もう、頬の緩みが抑えられなかった。
* * *
ショッピングモールの近くにあるファミレス。
その一番奥の人目につきにくい席で、私と彼は向かい合って座っていた。
いちごパフェの冷凍いちごを口の中で溶かしながら、目の前で突っ伏し、不貞腐れている男の脚を蹴る。
「なーに、辛気臭い顔してるんですか」
「……どうして、告白もしてないのにフられないといけないんだ」
「してたんじゃないの、告白」
「してねぇよ」
「じゃあ、あれね。ナミシノブ君は無意識に告白してたのね」
「してねぇし、浪忍言うな」
「さっきまでトリプルデートしてた奴が何言ってんのかな?」
「あれは、仕方なくだろ!」
「お礼は1回のデートって言ってたじゃない、喜びなよ」
「んなもん、相手がお前じゃない時点でノーカウントに決まってんだろ! 俺様は他人とのデートがしたいんじゃない。野枝とのデートがしたいんだ!」
「いくら端の席だからって騒がない」
「くっそ、ぬか喜びさせやがって」


