トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐



よくもこう、さらっと嫌味が言えますね。


わたしのことカワイイって言った優しい人はどこに消えたのでしょうか。



いいえ、初めからそんな人いませんでしたね。


たまたまぶつかって、気まぐれに助けられただけだから……。





壬生君との出会いを思い出し、場違いに悲しんでいるうちにも、中央の6人の話しは進んでいく。



「凌太、アンタこれで何回目? 今度浮気したら許さないっつったよね」



「待って、違うんだ愛奈。今回は俺からじゃない!」



「問答無用! アンタみたいなチャラ男と付き合えるのは幼馴染のあたしくらいだって言ったよね。どこの馬の骨とも知れない女に騙されに行くことないって」



「悪かったって、俺は愛奈がいないと生きてけないんだ!」




村尾君と愛奈と呼ばれた人は、2人の世界を作り、上坂さんは眼中にない。



「孝啓も、凌太につられて女遊びしないって約束したよね」



「ハイ………」



森田君はもう1人の女子に正座での説教を受けている。




こちらも大崎さんの事は気に留めてもいない様子。



「今回のことは後でちゃんとお詫びして貰うから。行くよ、彩花」




愛奈と呼ばれていた人はもう1人の女子を呼び、村尾君と森田君を連れて野次馬の輪を抜けていった。



騒ぎが収まったことで野次馬も散り、残されたのは放心状態の上坂さんと、彼女を心配そうに見つめる大崎さんの2人だけ。




公開破局の後で、彼女達に何と声をかけたらいいのか。


足が棒のように固まって動けないし、喉もカラカラで、情けない。