トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐



負けず嫌いを発揮した上坂さん主導のもと、彼女達の勝負は格闘ゲームからガンゲーム、リズムゲームにまで及んだ。


それはもう、ここにある対戦ゲーム制覇するのではないかというほどに。


だけど、その勢いを削いだのも、上坂さんの鶴の一声なのだ。



「お腹すいたわ。ご飯にしましょ。………科乃くぅーん」




鬼のような顔から一変。

乙女の顔になり、壬生君に駆け寄る彼女。



いや、だから、上坂さん。
…………彼氏ほっといていいの?




壬生君は壬生君で、ひらりと華麗に避ける。


闘牛士だ。




「悪いな、俺たちだけで遊んじまって」



「いいもの見せてもらったよ」



男は男同士固まり、上坂さんに大崎さんが駆け寄る。



上坂さんも上坂さんなら、彼氏さんも彼氏さんだよ。

彼女が他の男に色目使ってるのに、何で何も言わないの?

トリプルデートって、こういうものなの?

デートとは、男女ペアで行動するんだと思ってたけど、違ったの?





5人とわたしの距離が遠い。


いっそのこと、帰ってもバレないよね。

帰っちゃおうかな。


上坂さん達も、わたしのこと忘れているようだし。




足を止めても、彼女達が振り返る事はない。



このまま置いていってくれたなら、迷子になったんだって、堂々と理由を言える。



通路の端に避けて、彼女達の背中を見送っていると。






「行かなくていいのかい?」



「ひいっ!」




耳元で囁かれた、数時間で聞き慣れた声。




「びっ、びっくりさせないでください」



「ごめんごめん。つい、ね」




いたずらっ子の顔をした壬生君が隣に居た。





遠く離れて行く集団と、壬生君を見比べる。


さっきまで上坂さん達の近くに居たはずなのに、いつの間に。