トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐





* * *




あれから嫌がらせされることなく過ぎ、時は放課後。



トイレの神様の時間。





「神様、助けてください!」




ほら、また迷える子羊ちゃんがやって来たようです。



「同じクラスの上坂さんに、トリプルデートに誘われて」



……今日の私は、上坂さんと縁があるようだわ。




「でも、わたし、彼氏いないのに、断らせてくれなくて、どうしようって………」




上坂絵里子(うえさかえりこ)には、朝から特攻かけられて、休憩時間には水かけられて。

そして今、彼女の被害者より相談を受けている。



なんという巡り合わせか。



「だから………」




柏手を2回うたれる。




「今度の日曜日までに、彼氏ができますように」




ひとつ、拝んでお帰りになった被害者。



彼女も厄介な奴に目をつけられたものね。




上坂絵里子は1年女子の中でも3本指に入る美人で、プライドも高い。



対して相談者の児嶋凜(こじまりん)は地味な子で、教室の隅に一人でいることが多い人だ。


上坂さんのプライドを保つための贄にふさわしかったのでしょう。


断れずに同行した独り身の彼女を笑い者にし、安心感を得る為に。




ったく、器の小さい女ですねぇ。


トリプルデートということは、もう一人は、金魚のフンよろしく後をついて回る大崎麻衣(おおさきまい)でしょう。


1年女子十指の美人で、上坂絵里子とは幼稚園からの付き合い。


そして、上坂絵里子の全てを肯定するお人形さん。


その尽くしっぷりは、もはや異常。






と、敵さんのことはいい。