トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐









彼らの背が見えなくなるまで見送ってから、私たちは動き出した。




「成功してよかったじゃねぇの」



「ほんとですねぇ」



ほっと息をついたところで思い出した。




「そういえば、浪瀬は私といていいのですか?」



「ん? どういう意味だよ」




「とぼけたって無駄ですよ。貴様に本命がいることは知ってるんですから。せっかくの文化祭ですし、本命ちゃんのところにお行きなさいな」



「なんだそのことか」




「なんだとはなんですか、私は心配しているのですよ。ほら、背中ならいくらでも押して差し上げますから」



「野枝………」



「感動で泣いてくれてもいいのよー」



浪瀬が憐れんだ目で見てくる。



どうしてですか。


別に、私は貴様の告白が成功するか心配してるんじゃないんだからねっ!




いやマジで。

私は自分の身が心配なのですよ。


このまま浪瀬が大々的に恋人発表を行わなければ、いちばん疑わしい私に矛先が向くこと間違いなし。



つまりは、放課後体育館裏コースなのですよ。


そんなのはお断りですわ。




「野枝お前……………………………………バカだろ」



「はい?」



たっぷり間をあけて発したのがバカですと?


失敬な。



私は保身の為に一生懸命だというのに……。