トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐

ピタリと密着する部分が暑い。


ただでさえ気温が高いってのに、余計に暑い!

寄るな離れろ。


身を少しよじったところで、人の気配が近づくのを感じた。






「ちょっと、どこまで行くの?」



「すぐそこだって」




一対の男女の声。


そういえばここ、告白スポットだった。



学祭なんて、絶好のチャンス。

こない方がおかしいですね。



彼らにこちらの存在が知られるのはまずい。

私は抵抗をやめて、息を殺した。






「ここってもしかして……」



女の方は、男の目的に気づいたようだ。

顔を赤くしてもじもじしだす。


男はそれ以上に緊張で固まっていた。




少年よ、彼女を見なさい。

これは脈アリですわよ。



野次馬な私は、陰から男にエールを贈る。

隣の浪瀬も彼らを気にしていた。




「………………」



「………………」



「………………」



「………………」




いつまで経っても男が行動に移さないことに焦れたのか、女が先を促す。




「ねぇ。あたしに言いたいことあるんでしょ?」



男は下を向いたまま、コクリと頷く。



「教えて欲しいな。きっと、悪いようにはならないから」



「………………」



それでも勇気の出ないらしい男に、女は呆れるでなく話題を変えた。