移動中も、人の少ない道を選んで盾になってくれた気遣いにちょっと感動したのは秘密だ。


だって、それが、人気者の平凡に対する当たり前の行動だからね!

昨日までがありえなかったのですよ。

今日もさっきまで公衆の面前で………。


浪瀬に対する恨みつらみを心の中で吐いていると。




「この辺でいいだろ」



着いたのは、告白スポット校舎裏。

建物と植物の陰、人目につきにくい所に座った浪瀬は買ったばかりの昼食を置き、私と繋がる手を引く。

ちょっとした仕返しの意味も込めて、引かれるままに彼にのしかかってやった。



「よっ、と」



が、そこはイケメン。

軽やかに受け止め隣に座らせましたとさ。


面白くない。



浪瀬は昼食を袋から出す。


ここでやっと手が解かれた。



袋から出てきたのは、フランクフルト、ホットドッグ、お好み焼き、たこ焼き。


そのうちのフランクフルトを持って。




「ほら」



私の口に突っ込んでくれやがりました。



しまったと思うがもう遅い。

食べてしまったものは返せない。



これをネタに何かさせられるのではないか。


悪どい顔を予想しながら彼の顔を見るが、思ったのとは違い、微笑みを浮かべていた。




これはこれで怖いわ。





「…………何を企んでるの?」





思い切って問いかけると。






「企んでなんかねぇよ。俺様からの純粋な好意だろ」




「……………」




怪しすぎる。