「らしくないことしてるんですね」



「うるせー」




彼は私の隣1人分空けてどかりとあぐらをかき、自身のセットした髪をかきむしる。



よかった。


私、浪瀬と普通に話せてる。


この調子で。




「ところで、いつも連んでるあの人達はどうしたんですか?」




目の上に両手を日除けのように乗せてキョロキョロすると、舌打ちされた。



なんで。




「………あいつらとは、切った」




「はぁ? 切った?」



切られたじゃなくて?

とは訊かない。

彼の名誉のために。






さっきも述べたとおり、この学校で浪瀬忍は有名だ。



彼と友人というだけで箔が付いていた時代もあるほど、良くも悪くも影響力がある。


今回のように悪い噂が立てば、身近にいる人はさぞ迷惑を被ったことでしょう。




同情はしないよ。

浪瀬が名前を貸す代わりに、彼らのナンパ成功率が格段に上昇する。

所謂ギブアンドテイクの関係ですからね。



浪瀬は大方、そんな甘い蜜を吸ってきた奴らの恨みの視線が居心地悪くて逃げてきた。

といったところでしょうか。



今まで連んできた奴らとも、そこまでの関係だったということですね。





ここには滅多に人はこないし、最高の避難場所でしょう?




私が居ましたけどね!



てか、私が居るって気付いた時点でどっか行ってくださいよ。


挨拶とか、不要ですから。





「やっぱり、お前は変わらないな」