世間は肌を下着同然に露出させ、外を歩く。


雨でもないのに傘をさす。


アスファルトから立ち上る熱気が揺れる。


そんな中、風通しの悪い暑苦しい制服に身をつつみ、通学路を歩く。



なぜ、夏休みなのに、わざわざ学校に行かなければならないのか。


それは。


がらがらと教室の扉をあけ、体を滑り込ませる。


空調の効いた室内だが、人口密度のせいか、お世辞にも涼しいとは言えない。


自分の席につくまでに何人かとすれ違ったが、誰も私に見向きもしない。


私はそのまま一言も発することなく椅子に座る。


襟元をパタパタとさせるが、いっこうに涼しくはならなかった。



こんなくそ暑い日にわざわざ学校に来る理由。


それは、今日が登校日だから。



二週間ぶりの顔ぶれが集うここ。


女子も男子も、いつものグループで話に花を咲かせている。


窓際の後ろから二番目というなかなかな席から、それらを眺めるのだ。



にしても暑い。


私立のくせに、最近のエコブームに乗って高めの温度設定。


これじゃあ、窓を開けているのとなんら変わりはないわ。



鞄からひっぱりだした下敷をうちわ代わりに扇ぐ私と違って、クラスメートの元気なこと。


若いオーラというか、熱気というかで余計暑い。



「っしゃ抜けた!」


「ずりーぞおい」


「オレも抜けた」


「なっ!!」



ひときわ騒がしいグループは、仲良くトランプゲームをやっていた。


中央に表を向けて置かれたカードに、同じマークのカードが乗せられる。