数十分後。


私の足は死んでいた。



「んだよ、だらしねぇな」



「まさか、浴衣と下駄で山登りをすることになるとは、想像してなかったわ……」



「自業自得だ」



しかも、着いた所は、山の上というベタベタな所。


時間になり、花火が上がる。


木々の少し開けたところがあって、屋台から遠くの花火の打ちあがるところまでよく見えた。


自然の展望台だ。


ただ、ここに来るまでの道のりが、長かった。


浴衣と下駄で歩きにくいし、暗くて足元も見難い。


加えて、人の手の入っていない獣道を強引に突き進んできたのだから。



帰る時も、この道なき道を進むの?

やだなー。



「おい」



「ん?」



浪瀬に小声で呼ばれて行くと。



「あっ、あ、あー………っ!」



「はっ……」



1本の木にもたれ、人影2つが絡み合っているところだった。

木々の隙間から漏れた光が絶妙で、見えるか見えないかギリギリ。


そこで何が行われているか理解した瞬間、一気に顔に熱が集まった。