トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐


チャラ男2人が先導するように歩き、私は人波に揉まれることなく移動する。


少し遅れて、浪瀬と女2人がベンチに着いた。



「野枝ちゃん、のど渇いてない? ジュース買ってくるよ」



「ずりーぞ! 野枝ちゃん、俺も何か……」



競うように、私に何かしようとする2人をわざとらしく止める。



「もぅ、けんかはめっ! だよ。のえは、りょーたくんとたかひろくんとおそろいがほしいなー」



ズキューン! とハートを射抜く音がふたつ。



「おっおう! すぐに買ってくるぜ」



「待て! 俺が先だ!」



ふたり仲良く走る後ろ姿を眺めていると。



「んじゃあ俺もちょっと行ってくるわ」



俺様じゃない浪瀬は新鮮だ。



「行ってらっしゃぁい」



顔の横で手を振って、浪瀬を見送る。


女3人となり、ここだけ張り詰めた空気に変わる。



「なぁに? そんな目で見ないでよぉ、のえこわぁい」



わざとらしくきゃっと言うと、女2人の目がより鋭いものになる。



「キモイんだよメス豚!」



「男独り占めにして、そんなに楽しい?」



「えー。でもぉ……あなたたちには忍がいたでしょぉ」



貼り付けた笑顔を消し、がらっと変わった私の低い声に2人はびくつく。