………だが、なかなか眠気が迎えに来ない。



さっきまでは、何度追い払ってもしつこいくらい付きまとってきたくせに。


いざ迎え入れる気になるとやってこない不思議。



はっ、もしや、押してだめなら引いてみろ作戦?


ざかぁしいわ!




追いかけて追いかけて、やっと捕まえた。

これから口説き落とそうという段階で……。


“ピンポーン”



鳴り響いた音に驚き、私の腕から煙のように消えた。


何で、こうなるのかな……?



起き上がり、重い頭を支えながら来客を迎えるべく玄関へ。


……と、ここまで来てから思いついた。



居留守使えばよかった!



でも、ここまで来て引き返すのもなんかアレだ。



私は愛想よく、外界へとつながる扉を開けた。





人生、いろいろな場面でいろいろな選択を強いられる。


たとえば、夏休みの宿題を初日で終わらせようとしたのもひとつの選択。


眠気をフって、玄関まで来てしまったのもひとつの選択。


そして、引き返すことをせず、玄関の扉を開けてしまったのも、またひとつの選択である。


人は無意識に、有意識に、選んでいく。



もしもどこかで別の道を選択していたならば、このような結果にはならなかったのかもしれない。