「俺んこと、好きか?」

私はまた答えない。
私は、妥当な答えを持っていない。

しばらくの沈黙。

先に破ったのは、彼。


「俺は、好きぞ」


変な口調だけど、もう馴れてしまった。

つき合い始めは、おかしくて。

笑ったら恥ずかしそうに叱られたっけ。


まるで昔の記憶を掘り起こすように、遠くを見やる。


「俺は、どうしたらいいが?」


私よりも何回りも大きい掌が、私の首筋に触れた。

掌はするりと抜けて、頭の後ろに回った。

優しく、抱きしめられる。