満員電車に乗って





連れて来られたのは駅のすぐそばにある小さな雑貨屋さん。

アンティーク系の小物がたくさん置いてあって、すごく女の子が好きそうなお店。

こんなところになんで連れて来られたんだろう……。


「もうすぐ姉貴の誕生日なんだ。でもプレゼントにどんなもん欲しいかわかんないから、手伝ってくれないか?」


無論、声が出ない私は黙っていることしかできない。


そんな私を見て、彼はペンとメモを手渡した。

「赤城、声出ないんだっけ。これ使って。」


私の名前、知ってるんだ…。
学校じゃ全然目立たない存在なのに。

そう思いつつ、メモ帳にペンを走らせる。

《力になれるかわかりませんが、手伝います。》

明るい茶髪の彼の髪型が臆病な私には怖く見えて、素直に従うしかできなかった。


「ありがと!すげー助かる。」

メモを見た彼からニコッとした笑顔を向けられた。