「なんなのよ、もう……」 湿った声をさらにくぐもらせ、橘は和也の肩に顔を埋めた。 外灯の明かりに雪片が輝き、はらはらと舞い落ちる。 凍った髪が触れ、突き刺さるようで、和也の頬が赤くなる。 少女の吐息だけが、焼けるように熱かった。 「ごめん……」 そう言って背中を叩いてやる以外のことが浮かばない、できない気の利かない自分が歯がゆかった。