「………淳…」




彼女の口は




俺の知らない名前を口にした




「……え…」




…誰だ、そいつ…




俺はつい声を出してしまった




笹本は自分でも驚いた顔をしていた




そしてそのまま




彼女の目は




涙で溢れていた




…なのに、笹本は




涙は流さなかった




「っ!!ごめん!!今日はもう帰る!」




そう言って笹本は




教室を飛び出していった




「……誰だよ、それ…」




彼女がいなくなった教室で




俺はただ




その場に立ちすくむことしか




出来なかった……