「あぁ、これ?
だってそうでもしねーとお前はぐれるだろ?」
「なっ…!また子供扱い!?」
…俺も俺だ
素直に『離したくない』って言えればいいのに…
「いいから俺の言うこと聞いとけ
これ、命令だっての忘れんなよ」
今だけでもいいから…このままがいい…
「おっ、着いた。ほら、笹本」
「えっ?」
そう、俺が一番見せたかった場所
「すごい……!」
「どう?俺のおすすめは?これ、ここのメインの水槽なんだけど…
……笹本?」
笹本の目には、うっすら光るものがあった
「えっ?
あ、ごめん…ちょっと見とれちゃった」
その横顔が、すごい綺麗で
なにも言えなくなった…
「ありがとう…橋村」
いつもよし素直な彼女の手から
俺の手に、少しだけ力が加わるのが分かった
時間が止まってほしいとも思った
それくらい、本当に嬉しくて…
「おう……」
今なら、俺も素直になれそうな気がしていた