「いや、なんでもねぇわ…
さっさと教室戻ろうぜ」
そう言って笹本に背を向けた
これ以上ここにいたら
顔赤いのとかバレそうだし…
先に戻っていたら
笹本が居ないのに気づいた
さっきまでいた場所にまだ突っ立ってた
「おい、ボーッとしてんなよ~!」
いつもの感じでそう言った
けど本当は…
こんなからかうような態度はとりたくない
もっと素直に気持ちをぶつけたいけど
それがうまく出来ないんだ…
「ぼ、ぼーっとなんかしてないっ!!」
「じゃあさっさと戻るぞ」
きっと…
今のままの関係が壊れるのが怖いんだ…
「…うん」
笹本はそう返して俺のあとをついてきた
俺はことのき、自分のことで精一杯で
この笹本の反応がいつもより素直だったことに気づかなかった…