リュウガが言っている意味が分からなかった。
正確に言えば、分かろうとはしたけど到底私なんかには理解出来なかった。
だけどリュウガが何処に行こうとしているのかは分かる。
私とリュウガが初めて会った場所。
あの、奇妙で暗くて闇のような場所
こちらに視線を向けないリュウガの広い背中、
「どういう…意味?」
しばらくの沈黙が続いた後、
リュウガは私に背を向けたまま呟いた。
「分からなくなる」
「え?」
「何が正しくて、何がおかしいのか」
やっとこちらを振り向いたリュウガは、さっきみたいに何も映さない瞳ではなく
どこか切なげで
ほっといたら消えてしまいそうで
そして……苦しそうな
そんな表情で私を見つめた。



