重たい鉄製の扉を、ギィーと音を立てながらゆっくりと開くと 目の前には薄暗い空間。 ドアノブを握る手にジンワリと汗が滲み、喉は緊張のせいかカラカラで音も出せない。 今更こんな事で緊張している自分に“フッ”と笑みが漏る。 何を今更躊躇(ちゅうちょ)したのだろう。 ……………もう決めた事なのに、 躊躇する理由すら 私が生きる中には存在しないというのに。