一瞬その場の雰囲気が静まりかえる。



そして廊下からはワンテンポ遅れて「きゃー」だとか「いいなー!」だとかの声。



目の前のレイジは……

何だか少し驚いているようだった。




明らかに頬を真っ赤にして顔を背けた私に。



「おい、」



やめて、こっち見ないで。



「お前」



背けた顔を無理矢理こっちへ向けようとしてくるレイジ。




「熱でもあるのか?」




「バカか!」と思わず叫びそうになったのを頑張ってこらえた。



まさかこんなすっとぼけた事をレイジが言うなんて、私の顔が赤いのを熱のせいだと思っているなんて。



本当に本当に「アホか!」と言いたくなった。