怒っているわけでもない
怒鳴り散らしてるわけでもない。
なのにレイジは凄かった。
どこまでも凄かった。
でもきっとそれは総長だからじゃない。レイジ自体が生まれた時からそういう雰囲気を持っているんだと思う。
息を飲まずにはいられないような、
思わず呼吸さえ止めてしまうような。
レイジの元へと足を進める。
一歩一歩と、
さっきまでレイジって名前を聞いていただけでドキドキしてたのに今はなんだか安心している。
レイジの目の前に立つと、そのままレイジは自然と肩を抱いた。
「だから言っただろ」
私にだけ聞こえるくらいの声で話すレイジ。
「注目の的になっちまうって」
いや、それはほとんどレイジが注目の的になってるだけであって、私が注目されてるわけじゃないような気が…
「他の男に見られてんじゃねぇよ」
その声はどこか少し怒りの含まれた声で、レイジの視線の先はさっきのナンパ男に向けられているようだった。



