「アオイちゃーん着付けするからこっち来てー!」
遠くてユメちゃんの声がする。
「アオイちゃんそれ終わったら私の髪のやってー!」
隣ではシズクちゃんの声。
でも私はそれどころじゃなかった。
もう完全に抜け殻状態だった。
昨日ベランダにいたあの後、
「お前が好きだ」
そう言ったレイジは「早く寝ろよ」っと言って何事も無かったかのように部屋へと戻って行った。
でも私の心臓はドクドクを越してドコドコ鳴りだすしまつで、どうしたらいいのかも分からないほど放心状態で、
ハッキリ言って全く寝れなかった。
寝てる場合じゃなかった。
だけど朝バイクにまたがっていたレイジはあまりに普通で、昨日の事は夢だったんじゃないかと思うほど。
レイジは普通で、バイクに乗るだけで心臓がおかしくなりそうな私。
思わず「昨日のは夢だった?」なんて聞いちゃいそうになった。



