叫びたいのに声もでない。
硬直するとはまさにこのことだ。
別に怖かったとかビビってるとかそうこと以前に、ビックリしすぎて瞬きさえも出来なかった。
ビックリしすぎて指の一本も動かせなかった。
どんどん近付いてくるリュウガの顔、
あぁ、なんて綺麗な肌してるんだろうとか。吸い込まれそうな瞳だなとか、どうでもいいことは考えられるのに
今の自分が置かれている状況はちっとも理解できない。
「おい」
私とリュウガの顔があと数センチでくっ付いてしまうんじゃないかと思うほどの近距離で発せられた声。
だけどそんなのも気にならないくらい、ただ私は目の前のリュウガを見つめ続けた。
「その目、誘惑してんの?」
え………ゆ、誘惑!?



