「大丈夫か?」 スーツ姿のリュウガの肩は少し濡れていて、どうやらまだ雨は降り続いているらしい。 「うん…大丈夫、少し怖い夢を見ただけ」 怖い夢。 これは嘘じゃない。 だけど夢なんかでもない。 私の過去だ。 私の現実だ。 私の真実だ。 「こんなところで寝たら風邪引くぞ」 そういって私から離れていくリュウガ。 「………」 「………どうした?」 振り返る瞳、 黒く深い漆黒の瞳。 「……行かないで」 私はリュウガの腕を掴んでいた。