「それ、観るのか」



甘い香り。いつもの爽やかな香水の香りとは違った、シャンプーの甘い香りが私を包む。



「あ、うん」



一緒に住んでいるのにきっとリュウガのこんなラフな格好を見たのは初めてな気がする。



「俺も観る」



黒いスウェットパンツに黒のVネックのTシャツ。こんなラフな格好なのにリュウガはいつも通り綺麗だった。綺麗でしかたなかった。


まだ髪からしたたる水をバスタオルで吸い取りならがら私の隣へとドカっと腰掛ける。


それにしてもすごい色気。女の私なんかひにならないくらいの…隣にいるのが恥かしくなるくらいの…


リュウガは気がついているんだろうか。自分の魅力に。


私がこんなにも隣でドキマギしてるということに。



多分気が付いてない、いやもし気が付いているんだとしたら相当の悪に違いない。



だって、だってリュウガはあたかも平然と私が座るソファーの背もたれへと腕を回してくる。