呼吸のために時折離される唇、 男の美しい指先が私のレッドワイン色のワンピースへと触れた瞬間 本当に無意識だったと思う。 ただただ涙が溢れ出た。 ぎゅっとつぶった瞳からはいくつもの水滴が流れ落ち、そして床へとシミを作る。 それに男も気が付いたのか、少し身体を離した瞬間だったと思う。 バターンっ!!! 勢い良く開かれた目の前の大きな扉。 そんなに強く開いたら壊れてしまうんじゃないかと思うほどにサビれた扉はそのまま反対側の壁へとぶつかる。