「レイジを知ってるか」



「今日は帰らないって言ってた」



コツコツと革靴の音を響かせなが歩くリュウガは何処か機嫌が悪いようで、私の前で立ち止まるとグイっと腕を引っ張った。



「レイジと付き合ってると噂を聞いた」



何故その事を知っているのか、何処で聞いたのかなんて検討もつくはずなく

見つめる瞳はどこまでも黒くまるで吸い込まれそうな感覚になる。



「あれは…本当に付き合ってるわけじゃ無くて…」




引かれた腕をさらに引きよせ私の頬に触れる。



「そうか」




「……」




「でも気に入らない」




「え…」




リュウガはその漆黒の瞳で私を捉えて離さない。

あまりに近すぎる距離にドクドクと心臓は変な音を上げ、痛みさえ感じる。



「お前は俺のモノだ」