「こういう事、たまにあるんだ」



「え?」




あきらかに話さなくなった私に気を使ってか、バイクの後ろに乗った私にカエデがメットを渡しながら呟く。



「レイジ、リュウガさんの家に住んでるだろ?その理由も色々複雑でさ」



「そうなんだ…」



まだ知り合ったばかりの私が知らないのなんて当たり前なのに、レイジの事を知らない自分に悲しくなる。



友達なんていない私がこんな事を思う日がくるなんて不思議だ。




「レイジってさ、なかなか人に懐かないんだ。クールっていうか、あんまり人を信用しないって言うかね」



「……」


確かに初めのころの私へのレイジの拒否と言ったらハンパじゃなかったのを思い出す。



「けどアオイちゃんにはそれが少し違うみたいだ」



「ちがう?」



「あのレイジが偽りとはいえ彼女を作って、おまけに送り迎えまでしてるなんて」


「それはアキさんが言ったからだよ…」




「まぁそれもあるかもしれないけど、あいつは人の意見で動くような奴じゃない」



ニコリと笑ったカエデは私の頭へポンっと手を置いて



「大丈夫、いつかレイジからアオイちゃんに話してくれる日がきっとくる」