その日の帰り道。



「え??渡さなかったの?」


凛の足が止まる。



「だって・・・」



そう、結局あたしはチョコを渡さなかったのだ。

渡したい気持ちは大きかった。

けど、渡さなかった。

なんだか、この関係を潰したくなくて。

好きって言いまくってた頃は、

なんだか避けられてたと思う。

あたしが好きってのを示しすぎたからかな?




でも、今日の小さな幸せのおかげで気づけたんだ。

好きって言うことを示すんじゃなくて

そのことを隠して、もっと仲良くなれたら

それは必然といい方向へいくんじゃないかな、って。



だから渡さなかった。