君が残してくれたもの


「で、羽音ちゃん何で逃げなかった?」

「怖かったんだろ」

「チャラ男は黙っててよ」

「銀髪に言われたくねぇよ!!」

海里さんと紫恩は中が悪いんだね。
性格の不一致が激しすぎると言うか。

同じチャラ男でもこんなに犬猿の仲なんて珍しいよね。

「逃げたくなかったから」

「…怖くなかったのか」

「慣れてるから」

「慣れてる…?」

おっと…過去の話はもう、やめよう。
忘れなきゃいけない話だから。

「何でもない。帰る」

「いつでもおいでね、羽音ちゃん!!」

「ありがとうございます 明海さん」

精一杯の作り笑いをして私は地下を後にした。
玲音たちが悪ぃ訳じゃないのに、どうして私は玲音たちに当たっちゃうの?

玲音が言った、あの言葉。
「…A lone wolf」の言葉の意味は一匹狼。

私が一匹狼に見えたのだろうか?
誰も近付けないから?一人でいつもいるから?

…分からないけど、そんな風に見られたと言うことは間違いない。