君が残してくれたもの


周りから見れば仲良く話してた私たちだけど一人の女の子のせいで教室中が静寂になる。

「藍咲さん」

後ろから名前を呼ばれ振り向いた瞬間、頬に痛みを感じた。
少しの間フリーズしていて私は頬を打たれたということに気付くのに時間が掛かった。

「…なに?」

痛みはあったけど、何よりなぜ今私はこの子に殴られたんだろう?という疑問しか浮かばなかったから頬を押さえることもなく無表情で相手を見ては言葉を投げ掛けた。

「よく、のうのうと学校に来られたわね。藍咲さんのせいで…星宮くんは…っ」

ああ…また、この話。
私が悪いのも私のせいだということも全部分かってる。

「分かってる。でも逃げるのはよくないし」

「藍咲さんが…代わりに死んでよ…っ!!」

まさか そんなことを言われるなんて思ってもなかった。

私が代わりに死ねばよかった。

そう思ったことは自分ではあっても言われることなんてなかったから。