君が残してくれたもの


「友達だからね」

「俺たちは?」

瞳をキラキラさせてまるで子犬のように私を見つめる紫恩。

俺たちは友達?
そう、聞いているんだろう。

友達でもないが見ず知らずの人でもない。
強いて言えば…顔見知り程度だ。

「友達ではないかな」

「え、俺しょげた」

「そう」

紫恩がしょげようとしょげまいと私には決して関係のない話だ。
だって事実だし、間違ったことは言ってない。

故に悠希は顔見知り以上友達未満だ。
玲音と言う人に限っては喋る事も然程ない。

「今日から俺ら友達だろ?」

「遠慮しとく」

「なんで?!」

「何ででも」

「羽音、何気に酷いな」

悠希にそれを言われちゃ、お仕舞いだ。
私より酷い人なんて山ほどいるのに。

「悠希に言われたくない」

「ふは、悪ぃ悪ぃ」

クスクス笑って私の頭をポンポンと撫でる悠希の姿はまるで兄のよう。

たぶん、あくまで私の感想だけど。