君が残してくれたもの


「あ、俺は 南雲 紫恩 だから紫恩って呼んでよ。羽音ちゃん」

…なんで私がこの人の事を紫恩と呼ばなければいけないんだろう。
友達でもなんでもない、ただのクラスメイトなだけなのに。

苗字呼びでいいと思うのだけれど。

「友達じゃん、俺ら」

いつ、どこで、誰があなたと友達になるなんて言いましたか?
私は一人でいたいのに。

―ブーブー…

ポケットに入れてた私の携帯がタイミングよく鳴った。
…のは、いいんだけどメールじゃなくて電話らしい。

鳴り響いてるし、止まる気配ないし。
りっちゃん先生の授業だし、いいや。