君が残してくれたもの


「なんで?」

それでも、話し返してしまうのは私の悪い癖。
話しかけられれば嫌でも返してしまう。

「だって…な?」

「殺気、見慣れてるから」

「…あんた、神原の殺気見えるの?」

さっきまで一言も喋らず黙ってた茶髪が急に喋りだした。
しかも、めっちゃ真顔で私を見てるし。

元からこの人、笑わないんだろうな…。
なんて勝手に思いながら見つめ返して頷いた。

「…あんた何者?」

いやいや、普通の至って平凡な女子高生ですけど…?

「凡人」

「…族とか入ってねぇの?」

「入ってるように見える?見えるなら…そうなんじゃない?」

ちょっと、ほんのちょっとだけ悪戯してみた。
…かなり上から目線だったかもしれないけどその辺は気にしたら負けだし、いっか。


「…だよな」

茶髪は納得してくれたみたいだ。
誰もあなたたちに近付かないのは、あなたたちが無意識のうちに殺気を出してるから。