そう頬を掻きながら言ってくれた
琉樹の瞳は悲しそうで
私は嗚咽混じりに
ぽつりぽつりと言葉を繋ぐ。
聞こえないところ
もあったかもしれないけど
琉樹は黙って全部聞いてくれ
最後にぽんと頭を撫でられた。
「すまん、不安がらせてしもて……。
俺のせいやのにひどいこと言うて……
堪忍」
「ううん、私、こそ
……ごめんなさい、」
ぐちゃぐちゃになった心が
あたたかくなっていく。
一方的な喧嘩だったかもしれない
不安と罪悪感が消え
嬉しくてまた涙が出てきた。
そして何度も何度も大好きな手が
拭ってくれて――――……
「ほな帰ろか？」
「…うんっ」
差し出されたその手をキュッと握った。
曇りのち雨のち晴れ
――END――
